林檎



その林檎をおあげなさい
もう随分と味わった筈でしょう
林檎の蜜がやっと
貴方の涙になってきたのだから
隣の彼女に渡しなさい

彼女も
涙に蜜を用いなければ
生きてゆけないようですので


名残惜しくてもいつか又
同じ林檎を使った彼女には
巡り逢えるのですから
気落ちせずに


さぁ行きましょう

戻りましょう

身体が腐らない内に